バランス能力の低下から見るエスカレーター事故対策 | UDマークでエスカレーター事故0を目指すUDエスカレーターの情報サイト

2020.12.22

バランス能力の低下から見るエスカレーター事故対策


データから見る、エスカレーター事故

年間約1,400名が東京都内で救急搬送されるエスカレーター事故、施設側は大きな問題意識を持ち、その対策に努めています。日本エレベータ-協会によれば、事故状況として転倒が占める割合は70%で最も多く、60歳以上では90%を占める要因となります。よって高齢者の転倒事故を防ぐことが事故総数を減らす上では重要なポイントとなります。

一人でも多くの転倒事故を減らすために、さらなる取り組みが必要であることは間違いありません。それが何なのか、主に消防庁の調査データから読み解いていきましょう。

まず、既存の代表的な転倒事故防止取り組みの効果性を確認していきます。

【取り組み①】手すりにつかまる

消防庁の678人の回答結果では、「エスカレーターに必ずまたは時々つかまる」と回答した高齢者(65歳以上)の割合は90%に上ります。救急搬送事故に遭われた313人を対象とした調査(内、高齢者169人)では、高齢者で「手すりつかまりナシ」の事故率は44%、「手すりつかまりアリ」の事故率は53%となっています。手すりにつかまることは、転倒事故を防ぐ上で疑いもなく必要なことですが、何らかの原因で事故防止効果が発揮されていない可能性があります。

【取り組み②】エスカレーターで立ち止まる

同上の調査で、歩くまたは走っていた人は12%で、意外にも88%の人は立ち止まっている状態で事故に遭われています。他方で、自身は立ち止まっていても、動いている他者がぶつかることにより事故が起こるケース確認しても、事故全体の3%しかありません。立ち止まっている状態の方が転倒事故につながる可能性が低くなることは間違いないのですが、同調査で高齢者のエスカレーター立ち止まり率が76%であることから、転倒事故削減に対しては、立ち止まること自体が大きく貢献しているわけではありません

なぜ転倒事故は防ぎきれないのでしょうか?

上で見たように他社からのもらい事故は少なく、よろけた、バランスを崩した、足が滑った・つまずいたなど自身の問題に起因する事故が84%に上ります。内、34%が乗降時の事故です。さらに、以下の直立姿勢時にあらわれる体の揺れ(重心動揺)を計測したグラフにみられるように、70歳を超えたあたりから急速に重心動揺の傾きが大きくなっています。

(酒井医療株式会社webサイトより引用)

この事実から、手すりにつかまることや立ち止まることでは、特に高齢者におけるバランス能力の低下をカバーしきれない可能性があると考えられます。同時に、自身が認識する身体能力における現実とのギャップが利用時の事故につながるのかもしれません。

急速に低下するバランス能力を補うためには、手すりにつかまる力やつかまり方などを丁寧に伝えていく必要がありそうです。一方、高齢者においては立ち止まること単独の効果は薄く、立ち止まることと併せて上記手すり利用もセットで啓発することが大切です。ただし、筋力の衰えなども考慮すると、自力でバランス能力の低下を補わせるアプローチだけでは、不十分なのかもしれません。またそもそも、「乗降時」の転倒事故を防ぐことは困難であることから、これらに対応した新たな対策を科学する必要があります。

乗降時および乗っている間にも「無意識に」身体バランスが安定する仕組みを作る必要性が、消防庁の調査データが読み取れます。既存の転倒事故防止対策はもちろん、私たちのUDマークがそれと併せて活用されるために、さらなる検証を行いたいと思います。

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